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[農政ウオッチ]重要品目4%/輸入急増し大打撃
掲載日:08-07-26
日本の農業界を激震が襲った。世界貿易機関(WTO)交渉で農業分野のモダリティー(保護削減の基準)などを交渉している閣僚会合で24日、欧州連合(EU)が、関税の大幅削減の対象から除外できる重要品目の数で「全品目の原則4%」を提案。米国の支持で交渉の軸になってきたからだ。現在の「たたき台」では、重要品目にできなければ関税を約70%削減しなければならない。一方、重要品目になっても米のミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)のような低関税輸入枠の大幅な拡大が待ち受ける。このまま合意するようなことになれば、日本農業が壊滅的な打撃を受けるのは必至だ。
■主要農産物守れず
「衝撃的な数字だ」。自民党農林幹部の一人は、閣僚会合の現状に言葉を詰まらせた。
農産物を、例えば米をもみや玄米、精米などのように細かく分類した場合の日本の品目数は全部で1332品目。「4%」なら53品目しか重要品目にできない。日本が求めてきた「10%(133品目)以上」と大きくかけ離れている。
一方、日本の高関税品目は169品目と言われることが多い。多国間による前回の貿易交渉、ウルグアイ・ラウンド合意に基づく主要な関税化品目に砂糖を加えた数だ。
またWTO閣僚会合の「たたき台」となっているモダリティー議長案の第3次改訂版は、「一般品目」と呼ばれる重要品目以外の品目で関税が75%超の品目に、約70%の関税削減を求めている。関税75%超は日本では134品目。これを基に試算すると、このうち81品目は一般品目として約70%の関税削減が必要だ。
ただ第3次改訂版は、条件・代償付きで重要品目を2%分増やすことを認めている。これを適用すれば重要品目を27品目増やせるので、70%関税削減の対象は54品目になる。しかし増やした分の27品目は代償として、低関税輸入枠を国内消費量の0.5%追加拡大しなければならない。
関税を約70%削減するとどうなるのだろうか。米では、MA以外の輸入に課している現行1キロ341円の関税が102円に低下。最近の価格高騰の影響を除くために過去10年間での中国産短粒種の売買同時入札(SBS)最低価格で関税支払い後の価格を試算すると、玄米換算で60キロ9000円程度になる。国産米の価格を下回り、価格だけ見るとMA以外でも輸入が可能になる。ほかの品目で試算しても、小麦、バターなどの乳製品、砂糖、コーンスターチ用トウモロコシを含むでんぷん、雑豆、こんにゃく・・・・・・と、高関税品目は軒並み同様の事態に陥る。
このため閣僚会合で日本は、最低限として「原則6%、追加を含めて8%」を強く求めている。
■自給率向上に逆風
食料自給率を50%以上に引き上げるための工程表をつくる――。若林正俊農相が2日、福田康夫首相に説明したこうした計画も、WTO閣僚会合がこのままの流れで決着すれば、見直しを迫られる恐れがある。
関税の削減とともに、自給率向上の大きな逆風になるのが低関税輸入枠の拡大だ。第3次改訂版は(1)関税削減率が一般品目の「3分の1」(高関税品目だと削減率23%前後)の場合の輸入枠の拡大幅を、国内消費量の「4〜6%」の範囲で決める(2)関税削減率が同「2分の1」(35%前後)の場合は、「3分の1」の場合の拡大幅より0.5ポイント少なくし、「3分の2」(47%前後)の場合は同1ポイント少なくする――ことを提起した。
24日の閣僚会合でEUが提案したのは、最大値となる「3分の1」の場合に「4%」。最小値となる「3分の2」だと「3%」になる計算だ。
これを基に米で試算すれば、現行が年間76万7000トンのMA米は、拡大幅「3%」で100万トン強、同「4%」で110万トン強になる。重要品目に指定すれば、小麦などといった自給率向上の戦略作物を含め、他品目も同様の拡大が必要だ。
農水省幹部が懸念する。「輸入枠が拡大すれば安い輸入品が増えるので、何もしないと国産が減る。(このまま合意すれば)自給率の大きな引き下げ要因を抱えるため、自給率目標も抜本的に考え直さなければいけなくなるかもしれない」
閣僚会合で日本は、輸入枠の拡大幅の最小値を「2%」に引き下げ、また米についてはさらに圧縮できる仕組みを認めるよう主張している。
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